Gさん 沖縄県在住 10歳代前半 血友病B(重症)
写真はイメージです。
現在中学生のGさん。幼少期から体を動かすのが大好きで、小学校1年生から現在にかけて地域のバスケットボールクラブに所属し、練習に試合にと明け暮れる日々。病気の影をあまり感じさせない、まるでアスリートのようなアクティブな生活を送っています。
*2025年9月取材
クラブ以外の日もバスケをしていることが多いので、ほとんど毎日バスケをしています。プロのバスケ選手になることが将来の夢ですが、そうならなかったとしても、何かしらバスケに関わる仕事には就きたいと思うくらい、バスケが好きです。
バスケには当然ケガがつきものなので、病気のことは多少気になります。昔は相手とぶつかるのが怖かったので、自然とロングシュートなど相手にあまり触らないプレーが得意になりました(笑)。でも今は、以前ほど気にしなくなってきたと思います。母からはよく「全力でやらなきゃ面白くないでしょ」と言われますし、半年ほど前から変えた新しい薬が効いている感じもします。病気とうまく付き合いながらバスケができているので、毎日がとても楽しいです。
同じ病気の兄がいて、小さい頃から一緒に病院に行くことが多かったので、ケガをしたら注射を打つことは普通だと思っていました。病気のことをちゃんと知ったのは小学校4年生くらいのときです。「あんまりケガしちゃいけないんだな」とは思いましたが、体を動かすのが好きで、正直そこまで気にしていませんでした。体育の授業や友達との外遊びは変わらず続けていましたし、バスケクラブでもずっと練習や試合に出ていました。「ケガしたら注射すればいいや」くらいでしたね。
5年生になる頃には、週1回の定期補充を自分でするようになりました。でもやっぱり自分で注射するのは嫌なので、けっこうサボることが多くて……結局ケガしたときだけ、とかになってしまい、親や先生からよく注意されました(笑)。
注射をサボッてしまうのは、痛みが嫌というよりは、むしろ準備が面倒くさいということが大きかったです。たった5分くらいのことなんですけど。
そこで今年の2月から新しい治療に変えてみたんです。最初は主治医の先生にいろいろ助けてもらいながらでしたけど、今はだいぶ手順に慣れてきて、準備に対してもどうこう思うことはなくなりました。バスケもきちんと楽しみながら、日常生活の中で無理なく治療ができていますね。今まで通り、何かあれば家族も助けてくれるので、新しい治療でも安心して続けられています。
バスケのクラブは今も続けています。活動は週4回で、平日は学校後に練習、土曜には他のチームとの試合をすることもあります。クラブがない日も友達と公園でバスケをすることが多く、生活のほとんどがバスケです。兄がバスケをしていたので自然と好きになり、始めたのはたしか小学校1年生だったと思います。
動きが激しくケガも多いスポーツなので、コーチには病気のことを伝えてあります。でも、それはケガをしないように指導してほしい、ということではありません。どうしても痛みがあるときに負荷をかけない個人練習メニューを与えてもらうなどの対応をしてもらっているんです。練習や試合は、他の選手と同じように思いっきり取り組みます。そうじゃないとつまらないですから!
慣れているとはいえ、やっぱり注射はできればしたくないですし、少しですが痛みはあります。今でも、打つ部分をパン! と叩いて痛みを誤魔化すようにして注射することもしています(笑)。なので大きな問題はないんですが、理想はやっぱり注射の回数が月1回とかでよくなればうれしいです。
あと、母がよく「飲み薬があればいいのにね」と言いますし、たしかにそうなったらもっとラクなのでいいなと思います。
将来はプロのバスケ選手をめざしています。そしてできれば、地元沖縄の「琉球ゴールデンキングス」に入れたら最高です。
今年の春に、地域大会の試合に先発で出て、3Pシュートを2本決めることができました。シュート練習はたくさんしましたし、結果が出たことはすごく自信になります。ただ、プロになることを考えるとディフェンス、フィジカル、メンタルなど、まだまだ課題が山ほどあるので、少しずつでも力をつけていきたいです。
あらためて考えると、今ここまでバスケに集中できているのは薬があるおかげです。なので薬への感謝を忘れずに、これからもバスケをがんばっていきたいと思います。
私なりの子どもの育て方(お母様より)
我が家の子どもは6人兄弟で、そのうち3人が同じ病気で、この子は2番目です。私は、病気だからといって、やりたいことを制限するような育て方はしていません。できるだけケガはしないように気をつけながらも、みんなと同じように全力で取り組めるように、主治医の先生とも相談しながらサポートするようにしています。自分の好きなことで後悔してほしくないですからね。特に最初の頃はあれこれ不安も多かったのですが、きちんと治療を続けることで、まわりの子どもたちと一緒にスポーツを楽しめるようになりました。主治医の先生をはじめ関係者の方々の日々のサポートには本当に感謝しています。今後、この子たちがより苦労なく暮らせるようないい薬が開発されることを、心から期待しています。
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児血液・腫瘍内科 屋冝 孟 先生
G君は生後すぐに血友病の診断となり当院での外来通院が始まりました。前任の医師の退職を契機に3年前より私の外来でフォローを行うようになりました。ちょうどその時期が9歳であったため、血友病の説明と静脈注射の自己注射の練習を行いました。
無事に自己注射の手技獲得ができましたが、G君はほぼ連日のバスケットボール練習のため忙しく、静脈注射による週1回の定期補充療法の時間を設けるのが難しい状況となっていました。そのような中で年齢も上がりバスケットボールの強度が増したこともあり外傷性の足関節出血を起こすことが増えていました。これまで行った関節超音波検査では異常は認めませんでしたが、これからも出血を繰り返すと関節に影響が出てくることが考えられました。出血時には静注の第IX因子製剤を使用する必要があることを説明し、投与方法が簡便で投与の継続が期待でき、安定した出血抑制効果が期待できる皮下注射製剤への変薬を提案しました。
G君、お母様も製剤投与の簡便さをメリットと考えており、血栓症のリスクを十分に説明した上で現在の治療薬に変薬しました。変薬後は自己注射もほぼ問題なくできるようになっており、G君本人も現在の治療薬を気に入っている様子です。
主治医として、これからもG君が好きなバスケットボールを継続出来るように、関節の診察や超音波検査、MRI検査などを行い、出血予防や関節症のスクリーニングを継続して行っていきたいと考えています。
血友病治療は近年様々な薬剤がでており、また考えるべき副作用も複雑になっていると感じています。様々な背景を持った患者さんと他愛のない会話も含めてコミュニケーションを図り、本人がどういった生活を送りたいかサポート出来るように、患者さんへの幅広い情報提供と適切な医療提供を行っていこうと考えています。
※一部を除き、数字、組織名、所属、肩書等の情報は2026年1月時点の情報です。
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