幼児期

監修:産業医科大学 小児科 酒井 道生 先生

血友病患者さんの日常生活の工夫や注意点について、年代別にまとめました。
ここでは、幼児期の患者さんについてご紹介いたします。

保育園や幼稚園に通うようになると、親御さんと離れて過ごす時間が長くなります。家庭での出血への対応(止血管理)を適切に行いながら、お子さんの生活範囲の拡大に合わせた対応を工夫しましょう。

衣類や住まいの環境の工夫

お子さんが活発に動くようになると、家の中で転んだり体をどこかにぶつけたりすることが増え、出血の機会も増えてきます。衣類や住環境でできる工夫としては、次のようなことがあります。

●衣類の工夫

ぶつけて出血しやすい部位への対応(膝、むこうずね、お尻、股など)

  • ・ズボンの膝、むこうずね、お尻、股の部分、上着の肘などにキルティングやパッドを縫いつけて二重にする
  • ・二重にして厚みをもたせたレッグウォーマーで、ぶつけやすい下肢を覆う
  • ・おむつの上にトレーニングパンツをはかせる など

関節内出血を起こしやすい部位への対応(足首など)
  • ・クッション性のよい靴を履かせる
  • ・ハイカットシューズ(足首を保護する) など
    ファッションや流行で選ばずに機能性で靴を選びましょう

●住環境の工夫

  • ・じゅうたんやフロアタイルで転倒しても衝撃が少なくなるように備える

  • ・部屋の整理整頓を心がける
  • ・お座りし始めで不安定な時期は、うしろにクッションを置く(ひっくり返るのに備える)
  • ・家具の角にカバーをする
    家具の角をカバーするスポンジなどはホームセンターで購入できます。

出血に気づくための観察ポイント

血友病の出血は多くの場合は内出血ですから、小さなお子さんはうまく伝えられません。お子さんの様子をよく観察し、受診が必要と判断した場合は事前に医療機関に連絡してから受診します。
観察ポイントの詳細はこちらをご覧ください。

判断に迷うときは思い切って医療機関に連絡してみましょう。「大丈夫ですよ」と言われれば安心ですし、その後の適切な判断につながります。

歯の健康を保つ

血友病の子どもは特に口腔ケアが大切です。虫歯予防のために、ジュースなどの清涼飲料水を飲む習慣をつけないようにしましょう。歯みがきの習慣をつけることもとても大切です。
乳歯のお子さんは自分でうまくブラッシングができないので、親御さんが仕上げのブラッシングをしてあげてください。歯肉が正常ならブラッシングで出血することは少ないので、しっかりとみがきます。
医療機関を受診するときは、必ず血友病であることを伝えるようにします。出血を伴うような検査や処置を行う場合、歯科医で抜歯をする場合など、必要に応じて担当医から主治医に連絡をとってもらうようにしましょう。処置の前後に凝固因子製剤の注射が必要になる場合には、主治医の指示にしたがいます。

保育園・幼稚園側の理解促進

園には、できる限り血友病のことを伝えておく方がよいでしょう。園でお子さんに何かあったときに手遅れにならないことが最も大切ですので、関係者に病気のことを理解しておいてもらう必要があるからです。
もちろん、最終的には親御さんが決めることですが、お子さんを他人に預けるためには、事前の準備や情報交換で双方が共通認識をもつことが欠かせません。
園の関係者に説明をする場合、お子さんの病状や家族の状況などを伝えるとともに、たとえば「他のお子さんの保護者には知らせてほしくない」といった希望をきちんと伝えるようにします。
病気の特徴や集団生活での注意事項などについて病院側から情報を提供することもできますし、必要であれば病院で主治医や看護師が親御さんと同席のうえ、園の関係者に直接説明する場を設けることもできます。主治医や看護師に相談してください。

入園時に必ず伝えておきたいこと

  • ・出血が疑われる症状
  • ・避けてほしい運動
  • ・出血時の対応
  • ・緊急時の連絡先(主治医、家族)

保育園・幼稚園での靴の選択

足首や膝の関節を守るために、靴の選択はとても重要です。園指定の上履きの底が薄いようであれば、似たようなデザインで底の厚いものを選ぶか、中敷きで衝撃を吸収できるように調整するとよいでしょう。特に指定がない場合には、かかとの衝撃吸収性のよいシューズがいいですね。
運動会などの行事では、主治医と相談のうえ、必要に応じて凝固因子製剤の予備的補充療法を行います。

関節内出血の予防

幼児期の関節内出血は足関節の出血が多く、成長に伴って膝や肘関節の出血も多くなります。血友病性関節症を予防するには、適切に凝固因子製剤の補充を行うことが何よりも大切です。さらに、関節に異常の見られないうちから整形外科で定期検診を受ければ、万が一関節症が発症した場合でも早期に適切な対応を行うことができます。
検診を始める時期については主治医と相談し、特に同じ関節で出血をくり返したエピソードがある場合などでは、一度整形外科での関節チェックを受けておきましょう。

医療制度について

医療制度については、こちらをご覧ください。

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