定期補充療法

監修:聖マリアンナ医科大学小児科学 特任教授 瀧 正志 先生

定期補充療法の種類

定期補充療法は、開始する時期によって一次定期補充療法と二次定期補充療法に分けられます。
一次定期補充療法とは、重症の血友病患者さんを対象に、2歳未満あるいは最初の関節内出血後(2回目の関節内出血以前)に定期的に凝固因子製剤の注射を開始し、これを長期間行うことにより関節症を未然に防止しようとする方法です。
また、二次定期補充療法とは、一次定期補充療法の定義を満たさないが、定期的に凝固因子製剤の注射を開始し、これを長期間行う方法です。

定期補充療法のメリット

一次定期補充療法は、適切に行うことによって患者さんの生活の質を大幅に改善する可能性のある治療法とされており、二次定期補充療法についても、血友病性関節症の進行を遅らせたり、欠席・欠勤を減らしたりするなどQOLを向上させる効果があります1)

このように、血友病患者さんに対する凝固因子製剤の定期的な投与(定期補充療法)には、多くのメリットがあります。
最も大きいのは、血友病性関節症を予防する効果です。
また、「頭蓋内出血などほかのタイプの出血の予防」、「入院する割合の低下」、「出血の減少により学業や仕事につく日数の増加や学業成績の向上」なども期待できます。
定期補充療法の投与量と投与間隔は、凝固因子の血中濃度、出血頻度、仕事の内容やスポーツの参加などの活動度、ライフスタイルなども考慮しながらその人に合わせた必要な投与量と投与間隔を調整します。

1) Collins P,et al.: J Thromb Haemost. 8(1),83-89,2010.

中等症、軽症の方の定期補充療法

中等症、軽症の患者さんでは、重症患者さんのように2歳前後から一次定期補充療法を一律に行う必要はないとされています。ただし、出血回数が多くなった場合や、関節内出血を早期に発症する場合には一次定期補充療法の対象となることがありますので、主治医と相談しましょう。
海外では中等症の方でも足関節で関節症が進行するという報告があります2)。中等症や軽症でも、定期的な診察を受け、関節の状態を観察しておくことが重要です。ターゲットジョイント(標的関節:特定の関節内でくり返し出血が起きる状態)を作らないよう、図のように出血の頻度や程度によって治療方法を変える必要があります。整形外科やリハビリテーション科による定期的な関節の状態チェックも受けるようにしましょう。

2) Ling M et al.:Thromb Haemost 105(2):216-268,2011

痛みや出血が感じられなくても、仕事の活動量が変わるとき(例えばデスクワーク中心の仕事から、外勤職になったときなど)やスポーツや新しい活動を開始するときなどは、製剤の投与量を見直すことがあります。このようなライフスタイルの変化についても主治医に相談するようにしましょう。

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