海外旅行

監修 広島大学医学部付属病院輸血部 藤井輝久

 海外旅行にでかけるときには、他の国に比べ血友病患者数が少ない国があることを知っておいたほうがいいでしょう。先進国における血友病の発生率は男性1 万人あたり1〜2人です。このうち、血友病Aでは約 15-30 %の患者さんに、血友病Bではほぼ 2〜5 %の患者さんにインヒビタ−が発現します。世界血友病連盟(World Federation of Hemophilia: WFH)のデータでは、発展途上国の血友病患者数はこれにくらべてはるかに少なく、全世界の平均では男性10万人あたり5〜6人と推定されています。です から一部の発展途上国や都市部以外の地域では、出血の処置、とくに緊急の対処にとまどる可能性があり、また、へき地では治療において感染症に罹患するリス クも高いおそれがあります。しかし、かかりつけの医師に相談して、ふだん使用している凝固因子製剤を携行することができます。必要なだけの薬剤が入るコン パクトな携帯用バックを用意しましょう。また旅行先で、どのような製剤なら入手できるのかを知っておくこともよいでしょう。さらに、自分専用の手袋や包 帯、縫合糸などの滅菌済み医療用キットを用意しておくのもよいアイデアです。

 世界血友病連盟が作成した「パスポ−ト-血友病患者の海外旅行のための手引き (Passport - A Guide for Travellers with Haemophilia)」は、血友病の海外旅行者を支援するため、また世界各国のどこで治療をうけられるかについて、正確な情報を提供してくれています。この小冊子には、全世界の82か国の633施設が載っています。

 次のような注意が海外旅行に不可欠なものとして詳しく記されています。

  1.  海外旅行を計画している血友病患者は、旅行ル−トにある血友病センタ−での治療法を確認するために、あらかじめ書面で連絡しておく必要がある。
     
  2. その中で、第VIII因子・第IX因子製剤が入手できるか、またその費用について照会しておく。
     
  3. 医師または自分が静脈注射できるように乾燥濃縮製剤を携行するのが望ましい。
     
  4. 身の安全のために、また医師に正しい治療をさせるように、血友病患者は常に患者カ−ドを携帯すべきである。
     
  5. 旅行の際には、主治医が署名した説明文書を携行するのが望ましい。できるだけ旅行先の言葉で書くのがよい(以下の例を参照)。
     

    (例)

 

これをプリントして
お医者さんに
サインしてもらおう!

この資料がプリントできます。(PDF/33KB)

 

6.  税関でのトラブルを避けるために、旅行者は入国検査係に宛てた主治医署名済みの手紙を携行するのが望ましい。できるだけ旅行先の言葉で書く(以下の例を参照)。

     
    (例)

 

これをプリントして
お医者さんに
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この資料がプリントできます。(PDF/33KB)

7.  出発前に医療保険について確認しておく。

8. 

旅行先に入国したら、輸血が万一必要となる場合に備えて、血友病センタ−に相談・依頼しておく。

9. 

治療を受けるときは、できるだけ事前に血友病センターに電話で連絡しておく。

10. 

多くの国にはWFHの国際会員組織(NMO)がある。旅行者はNMOに連絡するのが望ましい。

11.

WFHのNMOとは別に、赤十字血液センタ−や各国の血液バンクからも援助や助言を受けることができる。


 

さらに詳細な情報は以下のホームページをご覧ください

◆国際血友病治療センタ−(International Haemophilia Treatment Centres)
相談窓口

http://www.wfh.org/




JP/HG/0617/0004