子供の成長と薬の投与量

監修 荻窪病院 血液科 花房 秀次

 薬の量はどのように決められているのでしょうか? ふだん目にする市販の薬の「用法・用量」は、「大人(15才以 上)1回2錠、子供1回1錠、1日3回まで」などというように大人と子供では「量」が違います。これは単に「子供は小さいから、大人の半分」というわけで はなく、大人(ここでは15才以上)と子供の体重・年齢・体表面積などから薬の量が計算されているのです。
 血友病の患者さんが病院で注射する製剤も同じです。注射は飲み薬よりも効果がありますので、「大人」「こども」の区別ではなく、患者さん一人一人の体重や循環血液量によって厳格に薬の量が決まります。
 



 お使いの製剤の量は、お子さんの成長に伴って変化していますか?
 お子さんは成長するにつれて体重もどんどん増えていきます。最近の調査では成長期のお子さんは1年でおよそ4-5kg体重が増えています。
 例えば、このグラフより6歳 (約20kg) のお子さんが9歳 (約30kg) になった時に使う製剤の量を比べてみると(目標因子量(目標とする血中因子濃度レベル)を50%とした場合)、

※右グラフをクリックすると拡大画像がご覧になれます
 


●第VIII因子製剤の場合、注射する製剤の単位数は【目標因子量 % × 体重 kg × 1/2 】ですから、6歳の時は・・・
50% × 20kg × 1/2 = 500単位

●第IX因子製剤の場合、注射する製剤の単位数は【目標因子量 % × 体重 kg 】ですから、6歳の時は・・・
50% × 20kg = 1,000単位

●遺伝子組換え第VII因子製剤の場合、注射する製剤の量は(医師より100μg/kgの指示を受けている場合で計算)、【体重あたりの投与量100μg/kg (0.1mg/kg)× 体重kg ÷ 1バイアルに入っている量】ですから、6歳の時は・・・
0.1mg/kg × 20kg = 2mg
1.2mgバイアルを使用した場合
2mg ÷ 1.2mg = 1.66本(およそ1本半)
となります。

そして、このお子さんが9歳(約30kg)になると製剤の投与量は
 ⇒ 第VIII因子製剤の場合、750単位
 ⇒ 第IX因子製剤の場合、1,500単位
 ⇒ 遺伝子組換え第VII因子製剤の場合、3mg(1.2mgのバイアルを2.5本(2本半)
となります。

 このように、9歳の小学3、4年生で必要な製剤の量は、6歳の小学校入学時のままではかなり足りないことになります。
 製剤の効果は、早く治療することと同時に、適確な量を投与することが重要です。
 忙しい子育ての日常で、最近お子さんの洋服が少し小さくなってきたかなと感じたら、ぜひお使いの製剤の量をチェックしておくことも忘れないでください。
 




JP/HG/0617/0004