遺伝子組換え製剤の主な製造工程

現在、血友病の治療に使用する血液凝固因子製剤は、人の血液から目的の凝固因子を取り出して精製した「人血漿由来血液凝固因子製剤」と、遺伝子組換え技術により目的の凝固因子を作り出し、それを取り出して精製した「遺伝子組換え血液凝固因子製剤」があります。

遺伝子組換え血液凝固因子製剤は、主に以下の工程を経て製造されます。

培養

遺伝子組換え製剤は、ヒトの遺伝子を他の細胞(動物細胞)に組み込み、その細胞に目的の血液凝固因子を産生させる技術を用いて作られる製剤です。目的の血液凝固因子を作る遺伝子を持った細胞を増やし、細胞から分泌した因子または細胞内に産生した血液凝固因子を採取します。

精製とウイルス処理

製剤の原材料となる血漿や培養液には、必要な凝固因子以外のものも含まれています。これら必要のないもの[夾雑物(きょうざつぶつ)=不純物]や、ここまですり抜けてきたウイルスを壊して取り除いたりする工程です。

●イオン交換クロマトグラフィー

物質のプラス(+)またはマイナス(-)の性質を利用して、混合物を、分離・分析する技術です。
目的の物質がプラス(+)の性質を持っている場合、その逆のマイナス(-)性質を持つ固定相を使います。まず、混合物を流し込んで、目的の物質を固定相に吸着させます。その後、吸着させた物質よりもっと固定相に吸着しやすい物質を流すと、目的の物質が後からきた物質に負けて流れ出て、目的の物質を得ることができます。

●イムノアフィニティクロマトグラフィー

生体成分には特定の成分どうしが結合する性質があります。この性質を利用し、生体の成分を分離する方法がアフィニティクロマトグラフィーです。そして抗原抗体反応を利用したものを、特にイムノアフィニティクロマトグラフィーと呼びます。
例えば、凝固因子(抗原)と因子の特定部位だけを認識するモノクローナル抗体の場合、モノクローナル抗体を固定相に吸着させておき、凝固因子を流すと、凝固因子はモノクローナル抗体に結合し、他の不純物は流れ出ます。次に凝固因子とモノクローナル抗体との結合を弱める(切る)ような溶液を流すと、凝固因子は溶出されます。このようにして、凝固因子を不純物から分離します。

●S/D処理 (Solvent/Detergent 処理)

有機溶媒 (Solvent) と界面活性剤 (Detergent) でウイルスの膜を壊し、感染性をなくす方法(ウイルスの不活化)です。この処理は膜を持つウイルスに有効で、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、エイズウイルス(HIV)を不活化します。

●フィルターろ過

凝固因子が通り、ウイルスが通らない大きさの穴の膜を通し、凝固因子だけを取り出します。
不要な細胞の破片なども通過しません。穴の大きさは、目的とする凝固因子の大きさによって違います。

●加熱処理

ウイルスを不活化する(感染性を失わせる)ために行われます。
液状加熱処理は、液体の状態で60℃・10時間という比較的低い温度での加熱処理を行う方法です。低温加熱処理は、フランスの細菌学者であるルイ・パスツールがワインの変質を防ぐために考案した殺菌方法がもとになった低温殺菌方法で、パスツライゼーションとも呼ばれています。これにより、B型、C型肝炎ウイルスなどが不活化されます。
また、血液凝固因子の中には熱に弱いものもあるため、液状ではなく凍結乾燥(フリーズドライ)させたものを、60-65℃の温度で72-96時間加熱するという乾燥加熱処理という方法もとられています。

検査

安全な製剤を提供するために、血液製剤には様々な検査を繰り返し行っています。

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