世界ヘモフィリアデーイベント2009に参加して

窓村 紫

 世界ヘモフィリアデーイベント。そんな催しが世界の各地で開かれているということを、私は人から聞かされて初めて知りました。このイベントに参加した当 初は「堅苦しいイベントなんだろうか」と不安に思っていたのですが、スタッフさんの笑顔や丁寧な接客に、すっかりその不安も解消されていました。

 いざホールに入ってみると、すでに7割、8割程度の席が埋まっていました。多くの方々は別段緊張した様子もありませんでしたし、時折笑い声のようなものも聞こえていました。
 そんな中、開会の挨拶が始まりました。世界ヘモフィリアデーとは、世界血友病連盟の創始者、フランク・シュナーベル氏の誕生日にちなんだものだそうで す。次世代の血友病患者のために貢献してきた氏の努力。我々は次世代のために何ができるのか。開会の挨拶では、そのような言葉が投げかけられました。その 言葉はお金のかかる私達にとって深く考えさせられることであり、思わず私は姿勢を正しました。

 そして、いよいよ本命といったところでしょうか。奈良県立医科大学の嶋先生による、血友病ガイドラインについての講演です。嶋先生の講演は分かりやす く、またユニークなものでした。外国と日本の血友病治療に関する施設数の違い、またそこから来る対応の違いをクイズやスライドショーによって分かりやすく 説明していただけました。その話によると、日本の施設数が1,000はあるにも関わらず、アメリカではその2割にも満たない数しかないとのこと。しかし、 その分アメリカでは効率の良い治療ができるそうです。逆に、日本では全国どこででも治療を受けることができるかわりに、施設間の治療格差が問題視されると いうお話でした。どちらも一長一短といった様子です。それを克服するため、医師を対象としたガイドラインを作ったそうです。そのガイドラインの具体的な内 容が話され、講演は終わりました。

 血友病ガイドラインについての話を聞いた後、私の母親などは「そのガイドラインがあったら、具体的に何が良くなるのかしら?」と首をかしげており、周り も似たような反応を返していた方が何人か居たように思えます。私なんかは、どこでも安心して治療が受けられるんじゃないかな、と期待を膨らませていました が、どうやら上手く伝わっていない人も居たようで、それが残念でした。

 さて、嶋先生の講演の次はゴスペルの体験会です。血友病に何の関係もないんじゃ、と思った私の頭を、講師の河原先生らの歌声でガツーンと叩いてくれまし た。メンバーの方々は終始笑顔を絶やさず、パワフルに参加者たちを巻き込んでゴスペルを歌うのです。一人一人の顔をしっかりと見つめるようにして、みんな で歌った「Stand by me」はとても面白く、参加者の方々の顔も、講師の方々と同じようにみんな笑顔が続いていました。

 そして、最後のプログラムであるパネルディスカッションが始まりました。花井氏司会のもと、嶋先生などの専門の方や、私たちのような血友病患者、実際に 血友病の子供を担当した小学校の養護教諭の方などの様々な立場の方が、就学時における自己管理をテーマに話をされました。たとえば学校に薬を置くことは難 しい、であるとか、血友病に対する教員の理解が足りないこともあるという話がありました。そういった問題に対処するため、専門家との連携を取り、教員に対 してきちんと病気について理解してもらうことが必要だ、という話がありました。その他にも就職時の体験談やいじめに関する問題など、興味深い話が多くあり ました。

 このイベントで残念だったのは、参加者の質問時間が短く、二回しかできなかったことでしょうか。興味深い話だっただけに、もう少し長めに時間が取れれ ば、と思いました。時間があまり多く取れない都合上、仕方のないことかもしれませんが、ゴスペルで折角和やかな雰囲気になったのですから、ぜひそれを活か せる形だったらな、と思わずにはいられませんでした。

 しかし、全体的に見ればとても楽しめるイベントだったように思えます。自分にとって興味があるテーマであれば是非行くべきだと思いました。そうでなくとも、様々な意見を聞くことのできる場所でもあります。一度、参加してみてはいかがでしょうか?
 




JP/HG/0617/0004