血友病と歯科 −小児期の虫歯−

広島大学病院 歯周診療科 吉野 宏

◆ 乳歯の萌出期と虫歯のトラブル

乳歯の萌出期(ほうしゅつき・・・歯が生えてくる時期)や歯の生え変わりの時期に出血するのではないかと心配される保護者の方もいらっしゃいますが、通常 は多量の出血の恐れはほとんどありません。問題になるのは、乳歯が抜けて永久歯が出てくる過程で、乳歯が何かの原因で、自然に抜けない時です。代表的な原 因は乳歯の虫歯です。乳歯が大きな虫歯になって、根の吸収が悪くて脱落しにくくなると、グラグラしている時期が長くなります。結局、歯科医院で抜歯するこ とになるのですが、この時の状態が悪いと出血が多くなります。

では、虫歯にならないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?

  • 食生活習慣
    小児や高齢者にとって間食は欠かせない物ですが、ダラダラと食べていると、口の中が長時間酸性のままになるので、虫歯を作りやすくなります。時間を決めてあげる事が大切です。

  • 歯磨きとフロス(糸ようじ)の徹底
    歯磨きは習慣づけのためにもお子さんにやってもらってから、やはり親 が仕上げ磨きをする事が重要です。適度な大きさの歯ブラシで毛先や「かかと」の部分を使って歯と歯の隙間やかみ合わせの溝の部分を丁寧に磨いて下さい。ま た、フロスは歯と歯の間を磨くのに効果的ですが、お子さんでは難しいので親がやってあげなければいけません。力の入れ具合などを誤ると歯ぐきを傷つけるの で、歯科医院できちんと習ってから行って下さい。
  • フッ化物の応用
    フッ素化合物で虫歯を予防するのですが、歯科医院で確かな方法で定期的に塗布してもらいましょう。フッ素を吸収するのが高い時期は、歯が生えてから2〜3年のうちです。乳歯なら1歳前後から5、6歳、永久歯なら15、16歳までが一番よい時期です。

  • 初期の虫歯の管理と予防填塞(よぼうてんそく)
    いろいろ頑張っても、やはり虫歯ができる事もあります。その時必要な のは早期発見、早期治療です。そのためには、定期的な歯科医院の受診が必要です。また、生えてすぐの歯の溝は深くて幅が非常に狭いので、そんな時は予防填 塞(またはシーラント)と言って歯を削らないで、溝にプラスチックを流し込み光を当てて固め、虫歯を防ぐ方法があります。

虫歯の発生しやすい時期は、6歳臼歯(下の前歯と同じ頃の早い時期に生える下の臼歯)が生える頃と歯磨きから親が手を引く11歳以降です。子どものうちは口の中の環境がドンドン変化していくので、かかりつけ歯科医によく相談して下さい。
乳歯の健康は「普通のこと」がとても大切なのです。
 




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