家庭治療をより効果的にするために

監修 名古屋大学医学部附属病院 血液内科 松下 正

 家庭で血液凝固因子製剤を注射できることは、出血の早期止血、さらにはスポーツ・旅行などの出血しやすい環境に備える意味で関節症などの慢性的疾患を最小限にすることができます。

 しかし、「覚えた」「理解した」「身についた」と信じている家庭治療の知識や方法が、実は「忘れていた」「間違って覚えていた」「情報が古くなった」な どの理由で、家庭治療も本来の効果を十分に発揮できず、「効き目のない治療」となる可能性が出てきます。これは家庭治療を難しいもの、効かないものと途中 であきらめる原因にもなります。また、家庭での注射に慣れ過ぎて、出血の部位や程度に関わらず注射をすることとなり、結果的に貴重な製剤を多く使ってしま うこともあります。

 血友病の正しい知識を理解していますか?家庭で使用する製剤をしっかりと管理していますか?家庭治療を安全でより効果的なものとするために、自分が覚えた注射の方法や病気の知識を定期的に再確認しましょう。
 

家庭治療は単に注射の技術だけを習得して行うものではありません。家庭治療を継続していく中で、これまでの血友病の知識をあらためて見直してみましょ う。そうすることで、親御さんはお子さんを、お子さんは自分自身をより深く理解できるようになり、これまで以上にお子さん自身が生活をうまくコントロール できるようになるはずです。そして、主治医の先生や看護師の方々との関わり合いを大切にしましょう。定期的な通院はもちろん、時には電話や手紙などで近況 を報告するなど、「連絡の大切さ」を忘れないようにしましょう。

1. 病院は定期的に受診しましょう(最低3ヶ月ごと)。

家庭治療が良好に行われていることで、つい病院の診療回数が減ってしまうことがあります。しっかりと自分で管理できていると感じても、定期的に病院を受診 しましょう。中には製剤の受け取りに親御さんだけが病院へ行くので、受診回数が少ないという方もいるようですが、最低3ヶ月に一度は必ず本人が受診しま しょう。

2. 受診の際には家庭で行った「注射の記録表」を持っていきましょう。

記録表は患者さんの状態を知らせる貴重な資料です。記録することはもちろん、記録したものは忘れずに主治医の先生に見てもらいましょう。

3. 「注射の記録表」をもとに次のことを主治医の先生と確認しましょう。
・注射のタイミングは適切ですか。
・1回の注射量は適切ですか。
・注射の間隔は長すぎ/短すぎませんか。
・注射の回数は適切ですか。


製剤の保存や注射の使用頻度についても確認しましょう。

・使用している製剤は室温保存ですか?冷蔵保存ですか?
・使用期限を確認していますか?
・病院から受け取った製剤や使用した製剤はしっかりとその時期、個数を確認していますか?


4. 幼稚園入園時、小学校入園時、お子さんが自己注射を始める時などを機に、製剤の量、注射をする際に重要なことなどを改めて主治医の先生と確認しましょう。

お子さんが成長するということは、それだけ使用する製剤の量も増えるということです。発達段階に応じて、お子さんへの教育も含め主治医の先生と確認をしま しょう。そして、親ができるからといって、家庭内だけで自己注射を教えるのではなく、必ず医師の指導の下でお子さんの年齢に合った自己注射の教育を受けま しょう。
 




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