太りにくい強い筋肉をつくるために知っておきたいこと

運動について

No.1

                           東京大学医学部付属病院 リハビリテーション部 後藤 美和 先生


関節内出血の予防には、関節周囲の筋力アップと標準的な体重を維持することが大切です。筋肉が弱くなると関節に大きなストレスが加わり出血リスクが高くなります。平地を歩くだけでも体重の約3〜8倍もの垂直方向の圧縮力がひざにかかるといわれています。 階段の上り下りやジョギングになると、さらにその何倍もの負担がひざにかかることになります。つまり、1kg体重が増えることによって関節にはその何倍もの負担が増えてしまうため、体重の調節も非常に大切です。
筋力トレーニングは筋力アップ効果もありますが、ダイエット効果もあります。人間は安静にしていても必要な代謝量(基礎代謝量)があり、基礎代謝量は筋肉量に影響を受けます。よって筋肉量が増えると基礎代謝量も増え、太りにくい身体になります。よって、リバウンドをしない確実なダイエットの方法は、歩行など20分以上の継続した有酸素運動と筋力トレーニングを継続することです。

ダイエットを始めるにあたり、いくつか注意点をお伝えしたいと思います。


(1) 出血予防を目的とした輸注を併用すること
(2) 最初から過激な運動をはじめないこと
です。

◆ 輸注について

新しい運動は補充療法をされた日に開始しましょう。インヒビターのある方はバイパス製剤の予備的投与について主治医の先生に相談されるとよいでしょう。


◆ 運動の負荷について

有酸素運動については、血友病のない方でもダイエットのために急にジョギングを始めてひざに水が溜ってしまうことが時々みられます。血友病の患者さんの場合は、水中歩行やエアロバイク、歩行など関節に負担の少ない運動から少しずつ運動負荷を上げていくことが大切です。たとえば、インヒビターがなくて活動性が高く、定期補充療法をされていて、しかも普段からスポーツをしているような方であれば、1週間ごとに運動負荷を上げていってもよいでしょう。一方、インヒビターの患者さんでとくに出血を頻回に繰り返されている方では、運動負荷を上げたり活動範囲を広げていくことには、より慎重に対応していく必要があります。
適切な運動負荷を判断するには、これまでの運動状況や活動量と出血の関係を注意深くみていくことも重要です。それには、運動状況や出血、輸注の状況などを記録しておくのもよいと思います。こうした記録をもとに、活動量を決めていくことが望ましいでしょう。


◆ 筋力トレーニングについて

負荷の強い運動を急にはじめるよりも、図のような負荷の少ない運動から始めましょう。しかし、筋肉は落ちるのは早く、つくのは時間がかかるといった難点があります。筋力トレーニングを継続しても実感がわくには1~2ケ月要するといえます。そのため、意欲を保つ工夫も必要です。ご自身の体重や太もも(ひざから10~15センチ上)の太さ、体脂肪、歩数などを計測して記録し、ご家族や友人の方と一緒に取り組み、共に励ましあうことで運動を継続していくこともよいでしょう。




JP/HG/1216/0006