1.血友病との出会い


お子さんが血友病と診断されるきっかけはさまざまです。
病院の先生の言葉に耳を疑いました。
どうやって子どもを育てていけばいいのか、わかりませんでした。
 


息子が生後6ヶ月のある日、ミルクをすごい勢いで吐いたので、近所の小児科で急いで診てもらうとただの風邪と言われました。しかし翌日、全身けいれんを起こして救急病院に運ばれ、検査をすると脳に5センチ大の大きさにも及ぶ大出血。急遽、手術のできる病院へ移り緊急手術を受けました。そして手術後、担当の先生から「お子さんは血友病という血液の病気があるようです」と言われました。
血友病などという病気はいままで聞いたこともありませんでした。それに、今までとても元気に育っていた息子が病気だなんて信じられませんでした。先生が丁寧に説明をしてくれたのですが、何度説明されても自分の中でどう受け止めたらよいのかわかりませんでした。入院して数週間がたち、私もいくらか落ち着いてきたころです。点滴や採血をしたところから出血したという息子の腕は半分真っ黒に腫れていました。私はこのとき血友病という現実を見た気がしました。頭の中をいろんな思いが駆け回りました。
 


手足をよく動かしとても元気な子で、風邪もひかず、育児日記には喜びをびっしり書きました。生後半年が過ぎ、ある朝、腕の付け根にしこりのある小さなアザを見つけました。動きが活発になるにつれ、アザは体のあちこちに出てきては一週間ほどで消え、また出てくるといった繰り返しでした。近所の小児科、皮膚科と行きましたが原因がわからず、大きい病院の皮膚科、小児科に行きました。
血液検査をするため採血をしたところ、腕の付け根から指先までぱんぱんに腫れ、それでも分からず、また数度採血。小児科の先生に「この採血でわからなければ、現代医学では治せない病気になります」と言われました。そして、もう一言、「あなたは本当に身に覚えがありませんか?自分の胸にもう一度聞いてみてください」何のことかと思ったら、虐待していませんか?ということらしいのです。ふつうなら、とんでもないと怒りがこみ上げてくるはずですが、原因不明の今の医学で治せない病気にJくんがかかっているのかと思うと、不安と悲しみがその怒りより勝っていました。結局、病院から検査ミスとのことで謝られ、1ヶ月半の通院の後、血友病Bの疑いが高いと診断されました。
 


お姉ちゃん達より少し小さく生まれてきましたが、とても元気な子でした。
ある朝、オムツ替えをすると右足の膝が腫れています。少しでも膝を動かすと痛がっているのがわかり、主人といっしょに近所のかかりつけの小児科に診てもらうと、これは整形外科に行くようにと言われ整形外科へ受診。整形外科でも原因がわからず、再度小児科へ行きました。そこで血液の病気の疑いと言われ、ぐったりとした我が子を前に「間違いであってほしい…」と思いながら、その日は家に帰りました。

皆が寝静まったころ、子どもが泣くのでお腹が少しすいたのかなと思い、湯ざましを少しあげると吐いてしまいました。電気をつけてみるとびっくり、顔色も真っ青になり少しもうろうとしている感じで、よく見ると右腕がぱんぱんに腫れていました。救急外来を受診しましたが、さらに専門の病院を紹介されました。私はZくんを抱きしめながら、「ああこうしているのは悪い夢であってほしい・・・」と思いました。

事実はその後知らされました。先生が私達にわかるように説明してくれているのに、頭の中は真っ白で先生の声も遠くの方で話しているように聞こえ、その時の私は涙も出ませんでした。Zくんの病気も認めたくない気持ちでいっぱいでした。寝顔を見ていると自然にポロポロと涙が止まらなくなってしまいました。

わが子が病気だなんてどうしても信じられず、どうしたらこの悪夢から目がさめるのかと毎日深い悲しみの中に沈んでしまいました。絶望、悲しみ、罪悪感などに次々と襲われ、すべてを信じたくない気持ちにもなりました。

ほとんどの方がこんな辛い道を通ってきました。で も、こんな辛い道を通っている間でも、知らずにそして確実に明日への一歩を踏み出していたのだと思います。入院した時に同じ小児科病棟の子どもたちの明る さとそのご両親たちの病気に対する前向きな考えを聞いて、これではいけないと思った方もいらっしゃると思います。そして、このご両親たちもきっと私たちの ような辛い道のりを経て、強さを身につけたのだと思います。

今でも考えると悲しくなります。でもいろいろな壁にぶつかりながら、気持ちを整理していけると思います。そして、泣いていた私たちもしだいに自信をもち、他のご両親の相談にのったり、たくましい自分になっています。
今は悲しくて、辛くてどうしようもなくても、きっと強くなれる日がくると思います。




JP/HG/0617/0004