第4話 インターネットけんさく

「博士!はかせー!」
「どうしたんじゃ。そんなにあわてて」
「ぼくのかいた絵が入選したんです。県の美術館にかざられるって。それにそのあと、ぼくの絵が親ぜんてんらん会で世界の国に行くんだって!」
 

5年生になってから図工の時間、「世界」という題で絵をかいていた。ぼくはすぐにひらめいて画用紙いっぱいに人をたくさん、できるだけたくさんかいたんだ。ちゃんと数えていないけど、ざっと150人はかいたと思う。もちろん、テレビや本で見たいろんな国の人をかいた。先生がぼくの絵を見たとき、「すごいわね」って言ってくれたんだ。もちろん、ぼくはそんな絵のてんらん会があるなんて、ちっとも知らなかったけど先生がぼくにないしょでおうぼしてくれたんだ。

「そりゃ、すごいぞ!ケンジ。いったい日本から何人の絵が世界に行くんじゃね」
「えっと、たしか全国の小学校から100枚くらい選ばれるって先生が言ってました。ぼくってラッキーだなー」
「ほう、そうするとじゃな・・・、ちょっと待っておいで」博士は小走りでとなりの部屋(へや)に入っていった。そしてすぐ出てくると、うでを組んでまるでむずかしい問題でも考えているように、
「日本に小学生は7,200,000人くらいじゃから、7,200,000分の100。ということは・・・、およそ7万人に1人か」

「7万人?なんか多すぎてよくわからないなぁ」
「そうか、ちょっと待っとれよ。」とまたとなりの部屋(へや)にかけこんで行った。博士ったらなに行ったり来たりしてるんだろう。そして、博士はまたすぐにもどって来た。
「7万分の1といえば、ケンジと同じ小学5年生の人数がおよそ120万人じゃから、日本の小学5年生の中で17人だけ選ばれたということじゃぞ」
「すごーい!でも120万人ってどれくらいの人?」

「じゃからのぉ。このわしの白いかみの毛の中で、黒い毛が1本か2本だけということじゃ!人のかみの毛は平均すると10万本じゃからな」

「ひゃー!このかみの毛の1本がぼくかー!すごーい」
「いたたたっ、これケンジ、わしのかみをひっぱらないでおくれ。じゃが、ようやくわかったようじゃな」

「すみませーん。でも博士、なんでそんなに数にくわしいの?」


博士は頭をかきながら、またとなりの部屋(へや)に行って何かを持ってきた。手には小さなパソコンが1台。

「なーんだ。博士、しかけがあったんですね」
「そういうことは、インターネットで調べるとよくわかるんじゃ。便利な世の中になったもんじゃ。ケンジはやらんのかね」
「ケイタイメールはやるけど・・・。あとは学校の授業でちょっとだけ」
「そうか。今のこどもはゲームかケイタイメールばかりしておるらしいな。パソコンこそ勉強に使うといいんじゃがな。ケンジ、ゲーム以外ならときどき使ってもいいぞ、しかし使う時はわしにちゃんと言うんじゃぞ」
「はい。博士!」
「うむ、近ごろの子どもはこういう時だけ、返事がいいのぉ」

 ぼくは博士にインターネットを使っていろいろ調べる方法を教わった。日本の人口、世界の時間、人気アイドルのホームページ。それから、博士にないしょで最新ゲーム情報!えへへ。これって学校じゃできないもんね。そしてぼくはあることを思い出した。
「ねえ、博士」
「なんじゃ?」
「ぼくと同じ病気の人ってどのくらいいるんですか?調べられる?」
「そうじゃな、できないことはないが、医学の情報はなかなかむずかしいし、ケンジがわかるようなものはまだ少ないな」
「たしか、日本には4,700人くらいと聞いたな。日本の人口が、ほれ、どのくらいか調べてごらん」
「えーっと、博士これ?」
「そうじゃ、そうじゃ。1億2千743万5千人。だいたい1億2千700万人として計算すると、およそ2万7千人に1人じゃな」
「2万7千人に1人かぁ。博士の前がみ辺りに1本ってとこか・・・」
「なにか、言ったかな?」
「いえ、何も言ってませーん」
「参考までに言うと、日本にとても多いと言われている病気、とうにょう病は2003年でおよそ740万人じゃ」
「ええ!ななひゃくよんじゅうまんにん?!」
「そうじゃ、だいたい17人に1人じゃな。地球上には何万人に一人、何十万人に一人という病気もあれば、何百人に一人、何十人に一人、というものもあるんじゃ。そして病気は人間だけのものじゃない、生物が地球に現れてから長い長い歴史があるんじゃ」

< 参考 >
・ 小学生の合計数・・・文部省、平成15年学校基本調査
   http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/index01.htm
・ 人口・・・総務省、統計局 年齢別人口(平成14年10月1日現在)
   http://www.stat.go.jp/data/nenkan/02.htm
・ 血友病の人数・・・厚生労働省委託事業血液凝固異常症全国調査平成14年度報告書 財団法人エイズ予防財団
・ 糖尿病人口・・・厚生労働省 平成14年糖尿病実態調査
   http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/08/s0806-4.html
・ 髪の本数・・・花王ホームページ フラバサイト 髪を育てる知識編より
   http://www.kao.co.jp/success/flavacyte/